不妊症の原因
不妊症の原因
内分泌性不妊・・・・ホルモンの分泌に異常が生じている場合
| 1無排卵症 | 排卵障害 |
|---|---|
| 2多嚢胞性卵巣症候群 | 排卵障害 |
| 3高プロラクチン血症 | 排卵障害 |
| 4黄体機能不全症 | 着床障害 |
卵管性不妊・・・・卵や精子の輸送に異常が生じている場合
| 1卵管閉鎖 | 感染症、子宮内膜症による受精障害 |
|---|---|
| 2卵管水種 | 感染症、子宮内膜症による受精障害 |
| 3卵管周囲癒着 | 子宮内膜症によるpick up障害 |
子宮性不妊・・・・内膜の発育に異常が生じている場合
| 1子宮奇形 | 着床障害 |
|---|---|
| 2子宮内膜異常 | 着床障害 |
| 3子宮腫瘍 | 着床障害 |
| 4内膜癒着(アシャーマン症候群) | 着床障害 |
頸管性不妊・・・・精子の保護に異常が生じている場合
| 1頸管粘液分泌不全 | 受精障害 |
|---|---|
| 2精子と頸管粘液の免疫学的不適合 | 受精障害 |
子宮内膜症・・・・女性特有の疾患
男性因子不妊症・・・数、機能、射精などに異常が生じている場合
- 造精機能障害
- 精子輸送路通過障害
- 性機能障害
- 精子異常
子宮内膜症と不妊症
子宮内膜症・・・?
『聞いたことは有るけどどんな病気?』と疑問に思う方もみえると思います。
子宮内膜症とは・・・
もともと子宮の内側だけにあるはずの子宮内膜が子宮の外に発生し、生理の度に出血する病気で、20代~30代に多く発症し30代の90%がなる病気です。
子宮内膜は、生理が終わってから徐々に厚みを増し、妊娠すると胎盤へと変化していきますが、妊娠しなかった場合は生理として子宮の外に排出するというサイクルを毎月繰り返しています。その内幕が卵巣・腹膜(お腹の内側を覆っている膜)・ダグラス窩(子宮と直腸の間)・子宮の筋肉などに出来てしまい、生理の度に出血を繰り返し、炎症を起こすのが子宮内膜症です。
チョコレート嚢胞
排出できない血液が卵巣に溜まってしまった状態
症状:生理痛・性交痛・不妊・不育症
子宮腺筋症
子宮の筋肉が硬くなり分厚くなった状態
症状:生理量の増加・貧血・生理痛・不妊症・受精卵の着床障害・流産・早産など
又、炎症を繰り返すことにより癒着(周りの組織とくっつく事)をおこします。
癒着により卵管がつまってしまい、卵子を取り込めなくなったり受精卵を子宮まで輸送できなくなったり、性交痛や生理痛などの痛みを伴い、卵子の質が低下します。
痛みで、SEXレスとなり妊娠の出来ないカップルもみえます。
以上、不妊症の50~80%が関わっているこの病気はまさに不妊症の最大原因と言っても良い病気です。
妊娠希望の有無にもよりますが、主な予防法・治療法として
- 漢方薬
- 低用量ピル
- ジェノゲスト
- LH-RHアゴニスト・アンタゴニスト
- ミレーナ(黄体ホルモン付加IUD)
- 腹腔鏡手術
- 抗酸化治療(水素・ポリフェノール・アスタキサンチン)
- 循環改善両方(高気圧カプセル)
など治療法が有りますが、子宮内膜症は閉経までは完治しない病気です。
長く付き合わなければならないからこそ、1人1人に合った治療が必要です。
妊娠を希望される方は、現在の自分の体の状態を知ることが大切です。
まず、手術ではなく、状態にあった治療法・妊娠を希望される方は、不妊・不育治療、タイミング療法・IUI(子宮内授精)・体外受精など 一緒に考えていきましょう。
クラミジア感染症について
最近の不妊治療において、子宮内膜症の次ぐらいに遭遇することが多いのがクラミジア感染症です。元来眼科の問題だったのが、性器感染症になり、卵管狭窄や閉塞を起こし、しばし体外受精の対象になることが多いのです。 だいたい4人の異性と性交すれば感染したと思っても良いと思います。
検査方法
- 子宮の出口を綿棒でこすって、そこにクラミジアの抗原があるかを調べる方法
- 血液でクラミジアに対する抗体が血液中に上昇しているか調べる方法
- 尿中にクラミジアがいるか否かを見る方法
一般に1.の方法で検査して感染の有無を言われる先生がありますが、子宮の出口に存在するということは、男性に性交で感染させられた状態を意味しますが、抗原が存在しない場合でも実際に自身に感染が無いことを意味しません。何故ならば、卵管まで進入してしまった後、他の感染症治療(風邪の治療など)のついでに膣内のクラミジアのみ治癒し、卵管内に生息している場合があるからです。
従って、完全に治癒したか否かは血液検査を3から4ヵ月後に行う必要があります。でないと子宮口のクラミジアは消えても卵管には生息し、徐々に卵管が閉塞して行きます。 そういったケースは多く存在し、治療の過程でクラミジアが治癒しても、血液の抗体価は後から下がってくるから抗体価が下がらないとしていました。そういった状態も確かに存在しますが、通常の場合は4ヶ月も待てば、治癒していれば抗体価は陰性化してきます。
しかし、薬剤治療をしっかりしても抗体価が下降しない場合が多々あります。それに対しては、薬剤に対し耐性を得たために効かないと説明されてきました。確かにそういったケースもあります。しかし、よくよく観察したところ、抗体価の下降しない方たちは、既に片方か両側の卵管が閉塞してしまっている場合が殆どです。
つまり閉塞して溜嚢腫になっているために通常の薬剤の量や期間では無効と考えられるのです。 事実、通水などで両側が少しでも通過する人は、通水と同時に治療を行えば抗体価は下降します。片側でも閉塞があると抗体価はマイナスになる事は殆どありません。
以上から、クラミジア感染症の疑われる人は血液検査を行い、早めに通水などを行うと同時に薬剤治療を平行して行い、数ヵ月後に再度血液検査をすることをお勧めします。
最後に、クラミジア感染は性交感染症ですが、セックス以外でも感染しますので、夫婦喧嘩のもとにしないほうが良いですよ。大きな銭湯で下着が置いてあるようなところや、24時間営業して消毒をする暇もないようなところは要注意です。
実際、当院でも銭湯好きな人の精液から時々、セラチア、黄色ブドウ球菌などの病原性の強い菌が検出されています。アメリカでは、妊婦は湯船につからない様に指導しているようです。
妊娠前にチェックしておきたい病気について
内科的な体の異常の基本的なチェック
腎臓や心臓の病気では、ある基準を超えた異常になると妊娠出産が生命の危機につながります。そういった病気を持っている方は、学校検診等にて既にチェックされ、内科医の指導を受けている場合がほとんどで、妊娠出産に関しても注意を受けている事と思いますが、検診で発見されずその年齢まで来ている方も稀にいらっしゃいますので尿検査や心電図検査は最低限受けられると良いでしょう。
また、甲状腺や膵臓、肝臓、下垂体といった内分泌系の異常は、不妊や流産、奇形児、早産につながるので、尿や簡単な血液検査を受けておくのも必要です。
感染症
母体から胎児に妊娠中や出産時、授乳中など様々なタイミングで感染は起こります。
その結果、胎児水腫、胎児奇形、胎児死亡や胎児が病気を受け継いでしまう悲劇が起こります。そう言った意味で問題となるのは以下の疾患があります。こういった疾患に留意し、妊娠中も専門医に管理してもらいましょう。
- B,C型肝炎
- ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
- AIDSウイルス
- 淋病
- リンゴ病(パルボB19)
- インフルエンザウイルス
- ムンプスウイルス
- ヒトT細胞白血病
- 風疹ウイルス
- トキソプラズマ
- 梅毒
- クラミジア
- コクサッキーウイルス
- 麻疹ウイルス
- B型溶連菌(GBS)
免疫不全
外敵から体を守る免疫系統の異常により、数々の病気が起こります。膠原病、血小板減少など、上記の内科的な疾患とオーバーラップするものがほとんどです。最近、妊娠をきっかけに発見される(本来は健康診断で発見されるべきですが)疾患として抗リン脂質抗体症候群が脚光を浴びています。これにより、微少血栓症が起こり何度でも体内死亡や流産を起こします。血液検査でその一部は発見でき、前もって予防する事ができます。また抗精子抗体や抗精子凝集抗体といったものが男性本人や女性に見られることがあります。確かにこれがあると人工授精でもほとんど妊娠しません。しかし前もって調べておくと無駄で無効な治療を避ける事ができます。
神経的な疾患
様々な状態の異常があります。軽い異常の場合、夫や家族の理解、薬物療法、教育などで立派な母親になれる場合があります。専門医とよく相談されると良いでしょう。
異常がなくても、妊娠出産を機に色々と精神に問題を発生させる場合があります。そういった事に産婦人科医ももっと注意したいものです。
整形外科的な疾患
妊娠すると腰痛や座骨神経痛といったものは悪化します。前もってある程度は軽快させておく事をお勧めします。但しレントゲン検査は必要最低限に。
遺伝性疾患
血縁の方に遺伝性疾患がある場合は、前もって遺伝相談を行っておくことが大事です。
遺伝子診断や遺伝子治療が進歩すれば相談や指導の方針も時々刻々と変化してゆく可能性があります。
