ドクターズコラム 当院独自の検査に対する考え方

不妊症の検査は、古くからあり、あまりその有効性も考えられず漫然と行われているものがたくさんあります。当院では患者さんの経済的、身体的なご負担を軽くすべく、(それでも山ほど必要な検査はあるのですが)十二分に検査内容を吟味し行っています。それを少しご紹介します。

※おことわり※  
以下は不妊検査に対する当院の考え方ですが、これは当院独自の見解と方針に基づく物であり、 他の医療機関で行われている検査内容について、これを否定、誹謗する物ではありません。 悪しからず、ご了承下さい。

 

ヒューナーテスト

40年以上も前からある検査です。セックスの数時間後に膣内や子宮内の精子の数、運動率をみる検査ですが、当院では行っていません。それは膣内の精子が動かない場合でも、その原因が奥さんの抗精子抗体(精子を動かなくする抗体)によるのか、精子が無力症で元々動かないのか、ご主人の自己免疫異常によって動かなくなっているのか、動かなくなる途中なのかが判然としないという面もあるからです。私達は抗精子抗体も含めた免疫異常をなるべく費用も器具もあまり使わないで詳しく判定するために、精子適合性検査という検査を考案し、抗精子抗体を調べる費用で精子に受精能力があるのか、免疫異常が起こりつつあるのかを調べています。この検査の優れている所は、免疫異常の起こりつつある途中でも判定できる所です。

 

子宮卵管造影検査

子宮から卵管にかけて造影剤を流してレントゲンを撮り、卵管が通るのか、子宮に奇形があるのか、などの検査ですがこれも当院では行いません。造影剤に対するアレルギー反応がある方の場合、卵管閉塞になる危険性があるからです。注意深く管理されていれば起こらないのかもしれませんが、不妊の検査で卵管が詰まってしまうようでは問題が大き過ぎると考えられますし、造影剤のかわりに生理食塩水を流しつつ超音波検査を行えば、有用な情報は全て得られるからです。

 

ホルモン負荷テスト

脳の下垂体というホルモン関係の中枢が正常に反応するかどうか、そこを刺激する注射をし、その後のホルモン値をみる検査ですが、やはり当院では行いません。刺激後にお乳を刺激するプロラクチンが過剰に分泌される場合は平常時のプロラクチンが正常でも薬を飲んだ方が良いのだと20年以上前から言われ始めましたが、卵巣を刺激するホルモンが正常に分泌されるようになるとプロラクチンの過剰反応は薬を飲まなくても自動的に正常になってくる方がほとんどだからです。